かなり初心者にも優しい系
おすすめサイバーパンク小説リスト
「サイバーパンクとか、
どうでしょう。」

目次
そこまで小難しくないサイバーパンク小説を読もう。
  ▼ペロー・ザ・キャット全仕事&ボーイソプラノ
  ▼鬼哭街
  ▼オーギュメント・アルカディア
  ▼殺戮のマトリクスエッジ
  ▼ヴァーティゴ
  ▼オイレンシュピーゲル&スプライトシュピーゲル
  ▼ニンジャスレイヤー
  ▼楽園追放 rewired サイバーパンクSF傑作選
  ▼攻殻機動隊&キヌ六
ステップアップする先。
  ▼重力が衰えるとき
  ▼ニューロマンサー
  ▼クローム襲撃
  ▼ハードワイヤード
  ▼スノウ・クラッシュ
  ▼ドローンランド
  ▼グローバルヘッド
あるいはトばし気味のセレクト。
  ▼軍事・諜報趣味
  ▼探偵モノ趣味
  ▼コア・オブ・コア
  ▼オルタナティヴ
付記。

■そこまで小難しくないサイバーパンク小説を読もう。
 ニンジャスレイヤーの人気がズンドコ上がっておりますなー(記事書いた時点・二〇一五年頭くらいの話)。上がりまくった結果にアニメ化までされちゃうし、CGアニメの楽園追放も人気を博して、その流れに乗ってか長らく絶版だったウィリアム・ギブスンのクローム襲撃が復刊されたりもしてマジかーって昨今。サイバーパンクも再度、ちょいちょい人気が上がることでジャンル者としては嬉しいやら何やら(わりと複雑)な一方、言及以前の話として「何読んだらいいんだろう」との言も見かけます。
 そりゃそうだわ、丸三十年前のジャンルだし。
 だいたいの本は中古じゃないと買えないし。
 あと買えてもモノによっちゃプレミア付いて高価いし。
 んでまあ、そういうのってキッツいよねーと思ったので、おもむろにブックガイドみたいのを書いた次第です。あと「ニューロマンサー難しくてわけわかんない」とか、よく見かけるしね……! 入り口になってると見せかけた代表作が癖ありすぎ、という極悪なアレであるといういかんともしがたさたるや。どころか、インターネッツに尋ねてもニューロマンサー以外でオススメな本とかそういうのが、どれも、これも、全ッッッッッ然アテにならないっつうのはいかがなものなのかね!
 と、そんななかでの有用性を狙ってこのページは作られたわけです。
 ラノベを中心に読みやすいのを紹介していきたいと思いまする。
 できるだけワクワクできるやつを。
 ワクワク、大事でしょ?
 あとは、恰好良さも大事にしつつ。
 なかにはそれはどうなのって本もあるんですが、できるだけ中立的にネ……!
 ちなみに挙げた本のなかには絶版のもあるけど、Amazonのマケプレやブックオフを使うとわりとフツーに買えます。それもお安く(書いたあとに値段つり上がったりとかそういうのに関してはご容赦ください)。そんなこんなで、まあ、あれよ、気になったのがあれば読んでみてねみてねよろしくね。

ペロー・ザ・キャット全仕事
吉川 良太郎
徳間書店
2001-05

ボーイソプラノ
吉川 良太郎
徳間書店
2001-09

 オススメ度:★★★★☆
 吉川良太郎著、ペロー・ザ・キャット全仕事/ボーイ・ソプラノの二作からなるポップなサイバーパンク長編小説シリーズ。
 近未来、第三次世界大戦後のフランスで巨魁パパ・フラノが取り仕切る、黒い治外法権域<パレ・フラノ>を舞台としたライトハードボイルドなシリーズです。
 第一作のペロー・ザ・キャット全仕事は、アウトロー気取りのへっぽこ兄ちゃんがサイバネ猫ちゃん憑依マシン――アヌビスを手に入れたことから、思いがけぬ冒険と陰謀の渦中に飛びこむことになる、というお話。犯罪組織に首輪をはめられそうになったり、抗ってみたり。自由を求める猫のような主人公が走り回る筋を、ピカレスク小説っぽさやスパイ物の要素というサイバーパンク典型的スタイルをとりながら魅せてくれる小説なのですなー。小洒落てキュートな文体も読みやすく、アクションもたっぷりでサイバーパンクの入り口にはぴったりな一冊。
 第二作のボーイ・ソプラノは、第一作にも登場する眼帯の私立探偵を主人公としたハードボイルド・アクション。聖歌歌手の少年からの依頼により神父を探すことになった流れから、パレ・フラノの統治をあざ笑うような正体不明の殺人者を巡る戦いに巻きこまれていく、というお話。探偵物としてのスタイルを強調しつつ、やはり謀略の気配を漂わせるものとなっております。こちらは元警官のオッサンが主人公ということもあって、前作よりは抑えめなテンションながら、オタクっぽい設定で魅せてくれる。
 ちなみに番外編としてシガレット・ヴァルキリー、ギャングスターウォーカーズという作品もあったり。前者は人工島を舞台にし、シリーズを通して活躍するセクシーな職業的犯罪者vsマフィアの殺人者という構図のバトル物、と針を一定方向に振り切ってる面白いやつ。もしパレ・フラノシリーズがお口に合えばこちらもどうぞ。後者は……まあ、うん(口をつぐまざるを得ない)。

鬼哭街 (星海社文庫)
虚淵 玄
講談社
2013-10-11

 オススメ度:★★★☆☆
 虚淵玄著、二〇〇二年にリリースされたビジュアルノベルのノベライズ版。
 サイバネティクスの怪物がうろつく近未来の上海を舞台に、妹を嬲り殺しにされたチャイニーズマフィアの元凶 手(アサッシン)が復讐の幽鬼となってひた走る、というお話。虚淵玄のギラついた(そしてごみごみした)文体が作品の質感と合致したハードボイルド・アヴェンジングなサイバーパンクです。と、言っても実際はそれほどサイバーパンク色はそこまで強くありません。電磁発勁なる技をもって生身のままサイボーグに対抗できる男が修羅の如き歩みでマフィアの幹部を殺しまくり、妹の魂を分割注入したガイノイドを強奪する……そういう、わかりやすい浪花節な内容なのですな。
 あれだ、香港電影の世界。
 魂を砕くしょんぼりな復讐劇はニンジャスレイヤーに直結できるし、単純に武侠小説、香港電影フォロワーとしても楽しいのでオススメです。

オーギュメント・アルカディア
東出祐一郎
朝日新聞出版
2013-03-19

 オススメ度:★★☆☆☆
 東出祐一郎著、ディストピア風味のサイバーパンクライトノベル。
 日米露中の企業が支配する日本の都市を舞台に、私立探偵が謎の少女・ディを守って大立ち回り、というお話。ディを守って追いつ追われつをした果てに、都市の中心軸を巡る戦いが露呈していく、とかまあそんな感じ。
 昨今の作品らしく、サイバー描写で仮想現実と並行してAR――拡張現実を多用しているのがこの作品の特色で、それを活かしたバトルが見ものとなっています。また、アクションが露骨に映画的で作者の趣味を反映しているほか、鬼哭街っぽいバトルが始まったり、ヤクザキャラが露骨にアイエエエエエ!?なセリフを言ったりと「フォロワー」としての雰囲気が出ていたりします。ジャンルへの入り口とするほか、既視感がありつつ気楽に読みたいときにいいかもしれません。あらー、このご時世に書籍でそういう演出やっちゃいますか……と若干微妙な気分になるページがあるものの、読み味そのものはかなりライトで陽気。とってもとっても読みやすい。


 オススメ度:★★★☆☆
 桜井光著、近未来――電脳の「コマンド」によってゆるやかに統制された海上都市トーキョー・ルルイエを舞台としたサイバーアクション。
 都市に潜むメカ怪獣をたった一人で狩る少年(眼鏡っ子)が謎の不思議ちゃんと出会ってしまったことで電脳アカウントがおかしなことになり、さらには都市の孕む陰謀に巻きこまれていく――と、かなりわかりやすいお話。TRPG「シャドウラン」などの世界観を援用した風合いに目新しさこそないものの、ラノベらしいラノベとしてのスタイルで読みやすいサイバーパンクといえばこれでしょう。続刊は小説としてのデキがイマイチながら、第一巻はそこそこな内容となっております。カバーすべき要素は全部カバーしてあるので入門に最適。
 ただ、読みやすいというのが、この作品の場合は文章の薄さにつながっているので、そこは好みが分かれるかもしれません。サイバーパンクはディテールを楽しむ小説という面も持つため、ビジュアルノベルライターらしくさらっとした、言い換えれば薄めな文章は食い合せがそれほどよろしくないのですな。どうしても。


 オススメ度:★★☆☆☆
 深見真著、サイバーボインボインビアンねーちゃんが悪党をボコるサイバーパンク警察小説。
 治安が悪化の一途をたどる二〇三〇年の東京を舞台に、凶悪化する組織犯罪を追うSP上がりと軍隊上がりの女刑事二人組が、テクニカルな手際による猟奇殺人に遭遇する、というお話。作者が筋肉/レズビアン/暴力を好むこともあって、ボインボインと人殺しに特化した小説にござます。特化しすぎ。通学/通勤電車のなかとかで読めないくらいボインボインなバディが銃撃戦&格闘の嵐を繰り広げ、暴力/暴力/銃器/セックス/暴力/そして死という感じ。まず特殊作戦のシーンからはじまる点からも、作品の方向性がお分かりいただけるかなと思います。
 なによりページ開いて即目にはいるのがディープキスしてる挿絵だし!
 かと思えば、清水建設の超高層建築ネタ、イメージ画像化技術(いわゆる脳機能イメージング)、サイボークの格闘におけるフィジカル云々などサイバーパンクっぽい要素もちらほら。ちょいおっさん臭い性的な描写(セックスやレイプ)と残酷描写が大丈夫なら楽しく読めるB級サイバーパンクです。



 オススメ度:★★★★★★★★★★
 冲方丁著、機械化された少女たちが舞い踊る軍事サイバーパンクシリーズ。
 近未来、少年兵が合法化されたオーストリアはウィーンを舞台に、身体障害やネグレクトで人生が壊れてしまった女の子たちが憲兵隊や公安警察という、巨大な組織のなかで未来を掴みなおすべくしてイデオロギーの怪物やその裏に潜んだ武器商人との戦いにひた走る、というお話。正味、今現在のサイバーパンク(より正確に言えば、清潔な未来を舞台としたポスト・サイバーパンク)としては最大級の火力、そして物量を盛った作品です。萌え、外挿、バトル、諜報、政治など様々な要素をブチこむフットワークの軽さで語られるのは、一貫して「生き抜く」ということ。これが他のサイバーパンクと異なっているのですな。すべての要素を凝り固めた先に、冲方丁による「生き抜いて未来を掴む」ということへの愛がつまっている、という。
 また、各巻でのお話が、
・墜落した衛星を追う軍事アクション
・ダイハード2めいた空港占拠事件
・洋ドラの24を意識したリアルタイム対ウィルステロ活動
・ダルフール紛争の軍事法廷警護
 と、かなり起伏に富んでいるのも印象的。これらの話を通して現実と地続きの問題を扱うエクストラポレーションと、エンターテイメントとして消化のしかたが小気味よいのです。一方、「――」、「/」、ルビを多用した特異な文体は好き嫌いがはっきり分かれるため、その点で「読みやすさ」は個々人の差異が出るかもしれません。ただ、愛と異形と情報活動と軍事作戦が合体した、紛れもない傑作軍事サイバーパンクなので筆者としては超オススメです(THE贔屓目OF贔屓目)。

ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1
ブラッドレー・ボンド
KADOKAWA/エンターブレイン
2012-09-29

 オススメ度:★★★★☆
 ブラッドレー・ボンド&フィリップ・N・モーゼズ著、ニンジャ&畸形的ジャポネスクをフィーチャーしたサイバーパンク。
 よく考えたら忍殺ことニンジャスレイヤーに触れたことがない人がいる可能性もあるのですな。それを考慮して一応、含めておきます。
 舞台は鎖国状態日本、大企業によって人々が圧迫される近未来都市ネオサイタマ。ニンジャ抗争によって妻子を失い、自らもまた死の淵に立たされたサラリマンに謎のニンジャソウルが憑依し、破滅的な復讐劇がはじまる、というお話。もっともこれはメインプロットであり、お話自体は時系列をシャッフルし、ときには市井の人々や、善き心をもつニンジャといった視点からも語られていく珍しいスタイルをとっています。また、「アイエエエエエ!?」に代表される忍殺語や、ダンス・ミュージックの音の反復を思わせる言語の反復、間違った日本観(サイバーパンクではお馴染み)、ニンジャ設定など、奇特なてんこ盛りもいいところのヘンテコな小説。
 ただ、ヘンテコに見せかけて実のところはわかっててやっている絶妙なさじ加減が楽しませてくれます。なんだろう、こう、ニンジャスレイヤーの形式を使いあらゆるエンターテイメントのスタイルを試してる感じ。見かけと変な文体、物量に騙されず書籍版の一巻だけでも手にとってみて欲しい次第。突き詰められた楽しさがあります。こと、初期エピソード群には。


 オススメ度:★★★☆☆
 CGアニメ「楽園追放」の公開に合わせて刊行された傑作選。
 読みやすい作品でちょっぴり肩慣らしをしたら、あるいは翻訳モノも平気で読める人なら、本格的なものもいかがでしょうか。さすがに収録作のほとんどが翻訳物なので、国内の作品とは手触りが違ってはくるものの、ジャンルの感触を知った後ならサイバーパンク今昔もなんとなしにわかるのではないかしら……と、筆者は思います。ギブスンの傑作短編「クローム襲撃」を筆頭に、スターリングやウィリアムズ、ストロス、さらには藤井太洋のテクノスリラー風ポスト・サイバーパンクまで、たっぷりと味わえる一冊です。
 そもそもが「楽園追放」のテイストを知らしめるための本なので、神林長平のあまりサイバーパンクとは関係ないお話も入ってはいます。でも、テイストを味わうためのコスパはそこそこいいですよ。



 読んで字を追っててもイメージがあんまり頭に湧かないとき、補ってくれる大傑作もあるのですよ!(大声)
 それがこの二作です。
 攻殻機動隊は警察/情報機関/軍事/官僚趣味をサイバーパンクと合体させた最強のメディアで、それは言わずもがなとして「サイバーパンクらしさ」の具体化が抜群にうまいのです。キヌ六もそうした文脈の上にあります。ヒネた形の歴史を辿ってしまった日本の描き方やテクノロジーの変異、機械化された人体の身も蓋もない頑丈さをもって楽しい世界を具体化している。そんな二冊を読めば、本を読んでても曖昧な部分や雰囲気への脳内補完がかなり効くはず。
 あと単純に、恰好良い絵面の嵐は読んでて楽しいのでオススメです。

 と、ひとまず入手難度が低めで読みやすいのはこんなとこ。
 ここからサイバーパンクを気に入って、翻訳物のサイバーパンク(翻訳物こそ大鉱脈なのです)にステップアップして読んでくれる人がいれば嬉しいなと思いますぞい。
■ステップアップする先。
 上記の作品を楽しめた人は、様々な作品のベーシックとなっている、より濃厚な以下の翻訳物に手をつけてみてはイカガでしょう。

重力が衰えるとき (ハヤカワ文庫SF)
ジョージ・アレック・エフィンジャー
早川書房
1989-09-15

 読解難度:★★☆☆☆(文体重め)
 入手難度:★☆☆☆☆(新装版有)
 すべてが変転を迎えた時代、イスラーム世界の暗黒都市――ブーダイーンを舞台にした電脳探偵小説。ヘボチンな探偵役がうろうろしたりジェームズ・ボンドと戦ったり。


 読解難度:★★★★★(文体に癖有)
 入手難度:★☆☆☆☆(新装版有)
 サイバーパンクの古典にして、千葉/ニューヨーク/イスタンブール/そして宇宙を練り歩くハードコアなピカレスク小説。文体や筆致がめちゃんこクールだけど人を選ぶのが玉に瑕なのですなぁ。

クローム襲撃 (ハヤカワ文庫SF)
ウィリアム・ギブスン
早川書房
1987-05

 読解難度:★★★☆☆(文体に癖有)
 入手難度:★☆☆☆☆(新装版有)
 ニューロマンサーの前日譚である「記憶屋ジョニイ」や「クローム襲撃」などを収録した傑作短篇集。字詰めや級数の関係上、旧版のほうが紙面は恰好良いです(可読性は新装版が抜群だけど)。

ハードワイヤード〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)
ウォルター・ジョン・ウィリアムズ
早川書房
1989-04

 読解難度:★☆☆☆☆(ほぼラノベ)
 入手難度:★★★☆☆(中古メイン)
 ホバータンク乗りの運び屋とへっぽこ姉ちゃんが活躍する商業サイバーパンクとしてガチなバトルアクション小説。ホバータンクでの大暴れからエースコンバットまで、バトル盛りだくさんの筋肉モリモリマッチョマンな長編。

スノウ・クラッシュ〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)
ニール スティーヴンスン
早川書房
2001-04

 読解難度:★★☆☆☆(上下巻で若干散漫)
 入手難度:★★★☆☆(中古メイン)
 仮想空間メタヴァースの大物、黒人剣士ハッカー(!?)のヒロ・プロタゴニストが新種のデジタルドラッグを巡って大活躍したりしなかったりなポップ冒険小説。ハードSFとしての面も兼ね備えるクール・ボーイな二冊です。

ドローンランド
トム ヒレンブラント
河出書房新社
2016-01-27

 読解難度:★☆☆☆☆(軽めの翻訳調)
 入手難度:★★★☆☆(値段高価い……)
 無数のドローンによって超監視国家圏を舞台としたミステリ風ポスト・サイバーパンク小説。読みやすい訳とサイバーパンクならではの世界設計、銃撃戦、萌えキャラ度の高い褐色ヒロイン、そして陰謀とおいしいネタたっぷりな一冊です。知名度は恐ろしく低うううういもののマジオススメ。

グローバルヘッド
ブルース スターリング
ジャストシステム
1997-07

 読解難度:★★☆☆☆(軽めの翻訳調)
 入手難度:★★★☆☆(中古メイン)
 80年代サイバーパンク運動の大ボスによる、サイバーパンク以降のイマジネーションを拡張する短篇集。サイバーパンクを脱構築した雰囲気の話から、超伝奇、文学っぽいのまで幅広くフォロー。

 中古価格がちょっと高めの本も混じってますがどれも楽しい本ですぞ!
 興味が出たら細かいことは各自で調べてみてね!
(詳細を書く体力がなくなってきた)
■あるいはトばし気味のセレクト。
 別に読みやすさとか気にせんし、ということで、可読性とか入手難度などをバッチリ無視し、「方向性」を重視して読む場合、

▼軍事・諜報趣味(特殊部隊や諜報活動、捜査活動を描くやーつ)
 
ペロー・ザ・キャット全仕事
 虐殺器官
 ネットの中の島々
 ドローンランド
 シュピーゲルシリーズ
▼探偵モノ趣味(探偵役がウロウロするやーつ)
 
ペロー・ザ・キャット全仕事
 ボーイソプラノ
 重力が衰えるとき
▼コア・オブ・コア(原点の濃いやーつ)
 
ミラーシェード-サイバーパンク・アンソロジー
 ニューロマンサー
 クローム襲撃
 スキズマトリックス
▼オルタナティヴ(尖ってたり異ジャンルミックスなやーつ)
 
バレエ・メカニック
 グローバルヘッド
 ディファレンス・エンジン
 ヴァスラフ

 といった流れをたどるのもオススメです。
 伊藤計劃作品はあまり指摘する人はいないものの、何気に長編がポスト・サイバーパンク趣味ダダ漏れだったりする――んですが、作品を取り巻く環境がいろいろと面倒臭いので言及は省いときましょう。また、高野文緒作品はオルタナティヴ趣味と表現するほかない、わりと異形な世界観にサイバーパンクの風合いをもちこんだ作品が多いので、なんかもういろいろ無茶してんなこれ、という作品が読みたい場合にオススメなのです。
■付記。
 よく、マルドゥック・スクランブルをサイバーパンク小説として挙げられる方がいらっしゃり、このリストに対してもまた、同様のリアクションをいただきました。が、あの作品、そして続編のヴェロシティはまだ前サイバーパンク時代である、と筆者は考え、意図的に除外してあります。サイバーパンクとは、情報技術やサイボーグ技術、それらハイ・テックが市井――あるいは、ドブと反吐のにおいがする路地裏とも言える環境にまで溶けこんだ物語である。その視点で見ると、マルドゥックは各種の「極端なテクノロジー」がまだ「ごく限られた人々の所有する範疇」にあり、未解禁といえます。まだ前段階でしかない。その点から省いています。一方で、同じく冲方丁の手によるシュピーゲル・シリーズを含めてあるのは、かの作品よりもテクノロジーの浸透度がもう一歩、先に踏みこんでいる、との判断からくるものです。その点、ご理解いただけると幸い至極。ブラックロッドに関しても、サイバーパンクの方法論を援用した超伝奇なので除外してあります。「似たもの」はあくまでも「似たもの」に過ぎない、ということで。ひとつ。
 ほら、アレじゃん。中国料理やら台湾料理やら韓国料理やらのアジア料理ってそれぞれ影響はあれど、基本、別の料理じゃん。そういう話です。

 では、くっだらない御託などは脇に投げやって。
 サイバーパンクへの善き出発(ディパーチャ)があらんことを。
 主の愛を(ジャー・ラヴ)。あるいは、神のご加護を(ゴッド・スピード)

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