▼日曜日、先ごろに書いた上野からお台場までの道のりを軽挙妄動フレンズと一緒にお散歩してきた。今回は先坂くん/篠塚くん(a.k.a.かつしー)/ねこたろうさん、そして先坂くんの友人のO氏の五人。疲れたけどやたら充実感があり楽しかった。結果として一五キロ+αほどをおしゃべりしながらウロウロしてて、なんだかんだで人間それなりに歩けてしまうものだな。

上野ではアメ横で屋台中華に乗りこみ、麻辣肉うどん/羊肉の串焼き/焼き小龍包を食べたんだけど、この辺りのカオス感は妙に異国情緒にあふれてて、大陸からの旅行者や在日外国人だろう人々に囲まれてごはんを食べるのは不思議に楽しい。あのガヤガヤした感じは独特で、周りの日本語、話し声や、それこそバッグの安売りでがなりたてる売り子の声が知ってる日本語から乖離しはじめるる。地下街ではねこたろさんとともに南洋ジュースで乾杯というアジアンタイムをすごした。あの茫洋と見慣れぬ食材や人混みのあいだを、当て所も曖昧に進んでいく感じはpanpanya漫画感ある。ところで、ねこたろさんと飲んだやつはグヤバノジュースだと思って買ったんだけど、よく見たらグアバジュースでしたね。画像を整理してていま気づいた。道理で味が記憶にあるよりもよほど爽やかであると思った。。。侘びに今度本物のグヤバノジュースを持っていきます。

食後は高架沿いにどんどん南下し、秋葉原や銀座、築地前と通り、浜離宮を横目に通ったり。浜離宮をすぎてもうすぐレインボーブリッジという辺りで植え込みのローズマリーを見つけ、みんなしてさわさわして爽やかなにおいをつけてる辺りの幼児退行感は笑った。手から香草を使った料理のにおいがする……とはかつしーの言。これが注文の多い料理店だったら全滅の兆しありだった。その後、マイナーコンビニ、というかローソン亜種のポートストアに意図せず遭遇できたのはいい収穫だった。窓にはさり気なく税関の告知が貼ってあって笑ったんだけど、「この貨物…いつもの違う?」と露骨に思うことはあるのだろうか。ちょっと面白い。海運周辺ならではの文化かもだな。しかも密輸ダイヤルという直截さ。

ジャンクションの足許が大概そうであるように、レインボーブリッジのふもとがなんとなく超伝奇バトル物のステージっぽかった。広漠とした都市空間はだいたいそう見えてしまうの、ジャンル者の宿痾かも。ここからプロムナードにあがってお台場に渡ることとなったんだけど、マジで怖かったな。まず見上げた時点で怖い。いざ上がるまではまだ物言う気力もあったのだけど、思ってたのの十倍くらい嬉しくないシースルー感満載であり、フェンスはそれなりの高さで張られつつ完全に覆うわけではなく、しかも海風に吹かれているものだから延々とカタカタ音を立てる始末。なんともいえない不安定感の恐ろしさたるや尋常でなく、ただ突っ立っていると車が通行するときの勢いで足場が揺れるから動きつづけなければならないというのがまた恐ろしい。点検用だろう階段とか見ているだけで縮みあがり、MGS2の雷電ってすごかったんだな、としみじみ思ったね。もうどこを見てもどこかしらの隙間から海面が覗いてることの怖さもものすごく怖い(トートロジー)。高所への恐怖ってつまるところは墜落と死/苦痛への想像力が励起されることだと思うんだけど、あれですね、アイフォンを使うようになってからは「落としたら取り返しがつかない」との要素も追加されていることに気づいた。もう風が煽るものだから手許からすり抜けたらどうしようかとビビリにビビり、結果として一枚しか写真を撮っていない。この写真も隙間から海面が見えてる……怖い……。思い返すと笑ってしまうのだけど、先坂さんに諸星きらりちゃん口調でおちょくられ、いつもならワハハとなるところをことば少なに牽制したりなんだりで本当に余裕がなかったな。本当に怖かった。正直なめていたし、高所恐怖症にはだいぶ堪えたし、最終的にはねこたろさんに手をつないでもらった状態で渡ったし、アラサーなのに本気でちょっと泣いてしまった……。あと対岸近くで低くなった手すりから身を乗り出す先坂くんにはマジでビビらされた……。

すっかり高度にやられた反動か、無事お台場について台場公園をウロウロしてるときは完全に童心に帰ってしまった。帰ったっていうか退行。かつしーが木の棒を拾った時点でだめだったね。一緒になって木の棒を拾う、砲台跡で人間砲台となる、走り回る、池を見つけて駆け寄る、謎の穴(調べたら火薬庫跡だった)に入りたがる、などなど。アラサー……。人間、二十を超えると一回カウントがゼロに戻ってまたやり直すという持論があるのだけど、それの体現見たくなってた。人工海岸の砂をもこもこ踏みつけながら人が関わっている案件の暗々した話に耳を傾けたのち、水上バスに乗ってまたはしゃいだり風に吹かれたり軽く船酔いしたり寝たりしつつ隅田川を遡上し、浅草で飯を食ってはかつしー宅にあがりこんでNetflix見たりしておしまい。なんかやたら楽しかったけどわけのわからん一日だった。
▼買ったり借りたり。
特殊部隊全史 SAS誕生からフセイン暗殺計画まで/マーティン・C・アロステギ
バウドリーノ上/ウンベルト・エーコ
暗殺者の反撃上下/マーク・グリーニー
ロシア民俗夜話 忘れられた古き神々を求めて/栗原成郎
靴ずれ戦線ペレストロイカ2/速水螺旋人
コカインナイト/J.G.バラード
チョーク!/チャック・パラニューク
ポストマン/デイヴィッド・ブリン
欲望/スーザン・マイノット
へらへらぼっちゃん/町田康
誰かの家/三津田信三
早川は既出のパラニュークを文庫化するくらいしてもよくね?! サム・ロックウェル主演のセックスクラブが結構好きでありつつもいまだに原作読めてねんだけど……とキレていたところ、かつしーが原作の「チョーク!」を貸してくれた。ありがたい。最近ジェネレーションX世代周辺の作家にちょっとハマっているから、近々読んできたい。90sの文化カラーリングと、それを享受して育った世代への強い憧憬を自覚したし、それも含めてうまく消化していきたい気持ちもある。
あとは人からの影響で町田康にハマったり、相変わらずブックオフの百円コーナーにはよく言っているので欲しかった本をちょこちょこ安く入手したり、という感じ。コカインナイトは百円でないにせよ、帯付き美品が安く変えて嬉しい。